PIPIN(G)

小さな頃、私のおえかきのワンピースを
可愛いねと言って、魔法のように
実際に着られる服に仕立ててくれた母。
当時はそれがどのくらいすごいことなのか
分からなかったけれど、どうやらほかの家庭では
なかなか行われていないということは、
母の明るいキャラクターと合わせて
評価してくれる周りの友人の声から感じ、
なんとなく母のことを誇りに思っていました。

すっかり大人になった今、
娘の私は美術（デザイン）を生業とし、
母は裁縫を再開しようとしています。

そこでまず思ったのは、
定年を超えてやりたいことがある母は元気だな！
ということです。
そして、それを相談してもらえるほど
成長して良かったと思いました。
育ててもらう立場から、親子が意識的に
影響を与え合う時間を持てることは、
人の寿命がのびている喜びのひとつかもしれません。
ものづくりの仕事をしていると、何か “新しいもの”
を求められる機会が多くありますが、
このプロジェクトでは第一に
脈々と“継続するもの” を送り出していきたいと思います。